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2012/09/19

信越五岳トレイルランニング2012(後編)

いよいよ、ここから漆黒の世界に突入です。
(もうここからは写真はありません)

5Aスタート時にライト装着義務あり、最大90ルーメンのヘッドランプと、手持ちライトを持って出ました。
両方とも最初から明るくして使うとすぐに電池がなくなるということを聞いて、薄明るい内は、登りやフラットなところはヘッドランプの暗めの点灯のみ。

5Aからはペーサー(伴走者)がつけられますが、私は単独走。夜間一人で走るのは全くはじめての体験です。

5Aからしばらくはフラットで安定した走りやすいサーフェイスのトレイルだったので、比較的楽に走れました。暗くなり涼しくなってきて、体力的にもかなり回復しました。回りはペーサー同伴の選手が多かったので、ちょっと淋しかったけど、一人になっても前後に人がいると思えば、怖いとは思いませんでした。

ところどころで、単独走の人たちと会話をしながら進みます。

給水ポイントからしばらくややきつい登り。でも、登りは体力的にはきつくても、技術的には難しくないので、ぼちぼち淡々と登っていきます。登りやフラットなところでは、むしろ勾配よりもサーフェイスの方が私的には問題で、ヌルヌルのぬかるみには閉口。木の根にも引っかかり、転倒は免れたものの、両足親指の爪を剥がす衝撃で、今でも腫れ上がって痛いです。しかも同じことを何度も繰り返しました。

大ダルミからの下りも、そんなわけでぬかるみが多く、滑るのが怖くて全くといっていいほど走れません。後ろからライトをつけた集団やペアが通る度に、道を開けて先に行ってもらいながら、ソロソロと下りていきました。それでも、木の根に滑り、恐怖はますます募ります。

こんな真っ暗なところで転倒して、場所が悪くて崖から転落したり、足をぐねったり、ライトやメガネでも壊れたりしたら、もうどうしようもありません。こういうところで単独走のデメリットを痛感しました。急な下りのところでは、クマザサに捕まりながら下りたりすることも多かったです。

走って下りる選手の背中を見送る度、自分はトレランナーのつもりでいたけれど、下りが走れないようではトレランナーを名乗る資格はないなあと思いながら、だんだん気分が落ち込んできます。

古池まで下りて池の周りを回るときも、滑って転んで池に落ちたらどうしようと、そんなことばかり考えてしまいます。
距離表示も10kmごとしかないので、80kmの表示がなかなか見えてきません。到着を予定していた時間からもどんどん遅れていくので、焦りも一段とひどくなります。

ようやく6A到着。もう21時ごろだったに思います。
するとここにゆかちんさんとMOMOさんのペアがおられました。5Aの出発の感じでは、もうその次のエイドくらいまで行ってるのではと思っていたのですが、ゆかちんさんもかなり下りで難儀されてたようです。
彼女たちが先行してスタートして、私はここでまた補給してから遅れて出ました。このエイド、りんごがあって、それがとても美味しかったです。おにぎりも3つくらいいただきました。食べられるのは本当にありがたい。胃腸が丈夫に産んでくれた両親に感謝です。

しばらく舗装道路を走ります。ずっとトレイルを来ると舗装道路は何て走りやすいんだろうと思います。少なくともサーフェイスを気にせずに走れるというのはどんなに楽か。
途中、車で通り過ぎる方から応援をいただきましたが、りきまる号だったのかも。暗くて全然わかりませんでした。ごめんなさい。

再びトレイルに入るところでまたゆかちんペアに追いつき、しばらく併走させていただきました。MOMOさんのリードにゆかちんさんしっかり付いていってました。私はマイペースで付いたり歩いたり。木道が多いながらも比較的走りやすいトレイルでしたが、思うようには時間は回復できません。

パワースポット戸隠奥社の鳥居をくぐり、砂利の参道を行き、再び木道に出てしばらく行くと7A。

次の8Aは第3関門で24時閉鎖です。でもなるべく早く通過しておかないと、あとの余裕がなくなります。7A~8Aは短いと聞いていたけど、思ってたより時間がかかってしまいました。ゆかちんペアとはかなり間も開いたのか、回りのランナーも少なくなってきたのか、前後に全くあかりが見えないことも多いです。とりあえずトレイルの踏み跡を頼りに外さないようにと思って行きますが、ところどころ自信が持てないところもあって、不安感が増します。

8A到着23:35。このエイドが見えてからぐるっと建物を回らないといけないのがちょっと辛かった。とりあえず、ここで楽しみにしてたお蕎麦をいただきました。麺は少し減らしてもらったけど、暖かいお出しも美味しくて全部残さずいただきました。ゆうこりんさんたちがおられて、コーラやムサシ、巨峰などをいただいて、おいしかったです。トイレに行っていよいよ最後の難関へ。

少しでも早く出た方がいいよと言って、ゆかちんさん達より少し先行してスタートしました。第3関門通過23:50。あと3時間40分で17.7km。余裕があるような、全くないようなです。

しばらく緩いトレイルを行き、急な登りにかかるとき、案内の方に瑪瑙山まで2kmで400mアップと言われました。回らない頭でいろいろ考えて、登り下りに2時間と踏んで、最後の給水ポイントを2:20までに通過できれば残りトレイルでなければいけるかもと漠然と考えました。登りは最後の力を振り絞って他の選手の追随を許さないほど結構ガンガンと登れました。この段階で、まだこれだけの力が残っている自分にも驚きです。

だんだんガスが出てきて視界も悪くなってきました。ただ、何も防寒具も着なくても寒いとは思いません。アームカバーも袖をまくっていてちょうどいいほど。やっぱりかなり気温高かったんでしょうか。

瑪瑙山頂到着1:30頃。ここから14kmだそうです。下り苦手とはいえ、まあ登りよりはまだ時間が早いだろうと思って下ります。もうガスと闇でまともな視界は数メートルしかないので、ルート外してないかだけが心配です。スキーゲレンデの端の方を下りるのですが、案の定一度藪の中に入ってしまいました。すぐ右手に正規ルートがあったので、ロスはほとんどなかったですが、怖いです。

ゲレンデが終わってから、なかなか100kmの表示が出てきません。途中案内の方に、今何キロ地点ですかと訪ねたら、数回「98km地点」と言われて、ちょっと萎えました。しかもまだ登りがありますとのこと。一気にゴールが遠ざかった感じがして、気力が途絶えていきました。ランプが点灯しているところを100km表示の案内かと思っても、「沢」とか「橋」とかもう障害物ばかりのような気がして、もう半泣き状態です。足も上がらなくなって、滑ったり、足がもつれたり、またつま先をぶつけて激痛が走ったりです。「もう2度と来るか!」、「やっぱり私はトレラン向いてないんだ」とか、ネガティブなことばかりが頭に浮かびます。

ようやく100km地点過ぎて、残り10kmを1時間15分。もう時間内完走は全く無理と諦め、あとはゴールまで自分の足で行くか、最終給水ポイントでリタイアしてゴールまで連れて行ってもらうかどうしようかと思っていました。というのもゴール地点でお風呂に入って、宿まで行く最終のバスに間に合うには、どちらが早いかと悩んだからです。

とりあえず、最後の給水まで向かう緩い下りすらぽちぽち歩いていると、後ろから突然、どーーっと数人が駆け下りてきます。「この人たち今これだけ走れるなら、もっと早く行けば良いのに」と思っていると、一番最後に石川弘樹さんが来て、「ほら、まだゴール間に合うよ。諦めちゃだめ」と言われます。私が「でも下りが下りられないから無理です」というと、「あと少しで林道だから。そしたら状態もいいから大丈夫!」と激励されます。
自ら8Aからスイーパーとなって、一人でも多くの人をゴールまでたどり着かそうということのようです。

そして、何と私のためにライトを照らして誘導してくださったんです。すると不思議なことに、今まで全くでなかった足もしっかりと出て走れることに驚きました。石川さんはずっと「諦めちゃだめ」「あと少し」と激励しながら、最後林道まで導いて下さいました。「ここから7kmを50分で走れば間に合うから!諦めないで」と。

私も、石川さんの気持ちを無にしてはいけないという気持ちや、本当にまだ間に合うかもというかすかな希望を胸に、無我夢中で林道を走っていきました。最初のうちは他にも数人の選手達が一緒に走っていましたが、先に行く人は行ってしまい、ちぎれる人はちぎれてしまい、また一人になってしまいました。それでもがんばって走り続けていたのですが、林道もゆるやかな上り基調でだんだん息がつらくなり、少し過呼吸気味になってきて、とうとう歩きも混じるようになりました。距離表示もわからないので、後どれくらい走ればいいのかもわからず、辛い時間でした。

これで、その辛さに打ち勝って何とか時間内に滑り込めれば、本当に感激するストーリーになったのですが、100km以上走ってきて、足の爪もやられてる身には、そんなうまくはいきません。

残り1.8kmの案内のところで関門閉鎖まで7分しかなかったのを知り、そこで終わりました。1.8km7分なんてロードでも出したことないですから・・・

すると、急に足の痛みが出てしまって、走ることもままならず、ひきずるように歩きました。ここからも遠かった。

というわけで、やっとゴールが見えてきました。当然人もまばらで、撤収も始まっているような感じでしたが、私がライトをつけてゴールアーチに近づくと、残っていた人たちがみんな拍手と声援で迎えて下さいました。ラントレのしょうやんさん、りんりんさんもおられて、ゴールをくぐってからりんりんさんに抱きかかえていただいたら、涙がこぼれました。

15分オーバーなので完走とは見なされませんが、それでも自分の足でゴールが踏めたのはよかったです。

荷物を取りに行く途中で、また石川さんと会い、「だめでした。」と報告しても「よくがんばってゴールまで来たね」と言われて感動しました。本当にあそこで石川さんに引いていただかなかったら絶対ここまで自分の足では来られなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。握手していただきました。手が強くて温かかった。

これで、私の初挑戦信越五岳トレイルランニングが終わりました。


いろいろサポートをいただいたラントレの皆さん、
前日当日早朝から深夜まで、大会をささえていただいたスタッフ・ボランティアの皆さん、
何かと応援いただいた、ラン友仲間の皆さん、
快く家から送り出してくれた家族、
そして私を最後まで導いていただいた石川弘樹さん、

本当にありがとうございました。

自分の弱いところ、ダメなところ、情けないところ、数々露呈した大会でした。
本格的なトレイルの少ない他の大会で完走できたことで、今回も大丈夫だろうと慢心していた自分が恥ずかしい。

でも、今回ペーサー、アシスタントポイントも利用せずに、最後までたどり着けたのは、一つの自信となりました。
やるべき課題もはっきりしてきました。

また、一から出直して、次はきっちり時間内完走が出来るように楽しみたいです。


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